RIA NOVOSTIが2012年度のロシア財政収支の速報値を報じています。

2012年の単年度財政終始赤字は128.2億ルーブル、GDPの0.02%。プライマリーバランスは3000億ルーブルの黒字、というのですから、 この財政の健全さは羨ましいばかりです。前の記事でも紹介しましたが、経常黒字と合わせて単年度双子の黒字(正確には、ちょっと財政赤字ですが)になりますね。日本は2012年度は対GDP比8.4%の赤字予想(財務省:PDF注意)ですし、経常収支は黒字ですがその金額は減りつつあります。

歳入も歳出も予算よりすこし少なめ、どちらかというと歳出が削減されているようです。

面白いのは、税収の内訳も公表されており、 雑な分け方をすると資産税以外の税金が5.16兆ルーブル、関税が6.48兆ルーブル、資産税が0.2兆ルーブルとなっていて、所得税・消費税よりも関税が多いというところです。関税の最新の内訳は見つからなかったのですが、かなりの部分が石油・天然ガスの輸出にかかる輸出関税から入ってきています。WTOでは輸出税については特に規定がないようですが、ロシアは今後輸出税を段階的に減らしていくようです(JETRO:PDF注意)。ただ、これだけ原料輸出からの歳入が多いと、ここには手を付けないでしょうね。エネルギー関連法人からの所得税収入と合わせると、ロシア政府収入の5割くらいはエネルギーに依存しているのではないかと。エネルギーで儲けた金を軍事に突っ込んでる、と。

古い貿易理論的には、輸入関税は国内消費者から政府への所得移転であり、輸出関税は外国消費者から政府への所得移転だったかと思います。普通の商品だと、輸出に関税をかけることは価格競争力を落とすことになりますが、資源のような偏在する商品に対しては有効なんですね。 やはりここでも、近隣窮乏化というロシアの考え方が見え隠れしていると思うのは私の偏見のせいでしょうか?

では、以下翻訳です。
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