ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

金融政策

インフレのピークは過ぎた?

VESTI EKONOMIKAが、インフレのピークは過ぎた?との記事を掲載しています。

経済発展省によると、6月のインフレ率は、5月の0.7%という記録的な数字に比べて落ち着き、0.5-0.6%となる。今年の消費者物価指数の伸びのピークは過ぎたと考えられる。

5月に記録した年率7.4%がピークであり、今後インフレ率は下がっていくだろうとAleksey Simanovskiyロシア中銀副総裁が公表した。

インフレのピークは本当に過ぎたのか?現在スタグネーションの状態にあるロシア経済を刺激できるかは中銀政策金利(現在8.25%)の低下 にかかっている。中銀が政策金利を下げるかどうかは、中銀が消費者物価指数の伸びが克服され低下に向かったと納得するかどうかにかかっている。

HSBCは、2013年末にはインフレ率は5.7%にまで下がると見ている。ただし、来年度の中銀のインフレターゲットである4-5%というのは非常に難しい。というのは、中銀は政策金利を下げようとするからだ。7月と10月の中銀取締役会で、0.25%の政策金利低下が決定されるのではないかと見ている。

Alfa Bankは現在のインフレはコスト・プッシュ型であり、金融政策によるものではないと見ている。そのため、経済産業省の楽観的な見方には賛成できない。年末までのインフレ率は、6.5%程度と見ている。

イグナチエフ中銀総裁は、7月のインフレ率は年率7%未満に下がるかもしれないとの推測を発表している。

ロシア・ルーブルとブラジル・レアルの相違

ルーブルとブラジル・レアルの相似性について、ズベルバンクのエコノミストが発表した調査について、Finmarketが伝えています。

ロシア・ルーブルとブラジル・レアルは非常によく似ている。原料輸出に依存した国の通貨で、実効為替レートがここ数年急に増価している。現在、レアルは7-15%過大評価されており、経済成長と競争力を阻害している。ブラジルはすでに通貨を下落させる方策を取っている。つまり、資金流入と消費を抑制し、政府投資を増やそうとしている。

ズベルバンクとしては、このような為替に対する政府の介入は好ましくないと考えており、違う形で競争力を向上させ、またインフレを抑制しなくてはいけないと主張しています。

ロシアとブラジルの経済政策で似ているところと違うところはこんな感じです。
・ロシアの実効為替レートが増価しているのは、高インフレ率のためである。
・ブラジルは、1999年からインフレターゲットを導入し、効果を挙げている。国内インフレを安定させるため、資金流入に際して名目為替が自然に切り上がることを許容し、輸入需要を抑制した。
・この間ロシア中銀は、為替レートのターゲットに注力していた。資金流入に際して為替安定のために為替介入を行い、国内マネタリーベースを増やすことによってインフレを加速させる政策を採っていた。
・いずれの場合も実質レートは増加するという結果は変わらない。

ブラジルの採っている金融過熱対策には以下の様な政策があります。
・ 外国人投資家のブラジル債券に対する投資に2%の課税
・ 債券取引税を4%、株式取引税・デリバティブ取引税を6%に増加
・2011年から、米ドル取引を行う銀行の準備金金額を上昇
・ 外国からの借入に対し6%の課税を導入

このような対策にもかかわらず、投機家はこれらの規制を回避する方法を見つけ、政策が意味をなしていないと結論づけています。

金融ではありませんが貿易では、南米は「輸入代替政策」の失敗例として経済学の教科書で挙げられていますね(成功例は日本と韓国)。 外国取引を規制しても国内産業の競争力が向上しないという例です。金融政策の規制については、ちょっと勉強不足でここでコメントをかけるような知識はないので、ここでは紹介のみ。続きを読む

EBRD「ロシアの経済成長は半減」三木武夫「インフレ高くて総需要抑制外せない」

欧州復興開発銀行(EBRD)による2013年度のロシアGDP成長予測が、3.5%から1.8%に下方修正されたとLenta.ruが伝えています。

今年1月にEBRDは同指標を3.3%から3.5%に引き上げたばかりでした。
ロシアにとって経済を加速させる政策はインフレのリスクを伴うものです。そこでEBRDのお薦めは、いつものメニューである投資環境改善のための構造改革となります。

経済発展省がGDP成長率予測を3.6%から2.4%に引き下げたばかり。

ちょうど、草野厚「歴代首相の経済政策全データ 増補版」を読み終えたところです。戦後内閣の経済政策・外交政策・政治取引が新書1冊でコンパクトにまとまっていて非常にわかり易かったのですが、第66代の三木武夫総理の施策方針演説にこんなのがありました。

一方、景気は停滞の色を濃くしつつあることも否定できません。西独や米国でもインフレ対策から不況対策に重点を移行し始めましたが、な消費者物価上昇率が特別に高い我が国の場合では、簡単には、総需要抑制策をはずすわけにはいきません。(p.131)

1975年1月のスピーチです。たかだか40年前の日本とロシアの現状が結構重なっていますね。金融緩和、財政発動したくてもインフレ率が高止まっているので難しい状況、ロシアはどう打開できるのでしょうか。

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インフレ率は高止まり 「給料上がらないのに物価は上がる!」

ロシア統計局が4月のインフレ率速報を発表しました。Finmarketが伝えています。

4月の単月インフレ率は0.5%で、3月の0.3%に比べわずかに上昇。年率換算では7.2%となり、昨年の年率6.5-6.6%に比べて高い数字になっており、政府目標の6%から大きくずれている状態です。4月の段階での累積インフレ率(年率ではない)で比べても、昨年度の1.8%に対し2.4%と高く出ています。

食料品の物価上昇が単月0.7%と、インフレ率の引き上げ要因となっているようです。ロシア全土での平均的な最低限の食料バスケットの価格は月2773ルーブル、約9000円で、年始来で6.1%上昇しています。

なかなかインフレは収まりません。景気が良いわけでもないのですが、失業率が低いからでしょうか。政府のターゲットである6%はこの調子だと無理そうです。日本はこれだけ緩和政策をとっても今年は2%目標ではないですからね、大きな違いです。政府としては、インフレが投資誘致を害する不安定性と見て、この対策を強く押し出していますが、新中銀総裁が経済発展省出身だというのがインフレ期待形成につながっているのかもしれません。財政政策も予算ルールにより縛られており、金融政策も高いインフレ率により緩和は難しいと、政策的には八方塞がり。頼みのエネルギー価格も最近先行きがくらいですし、ロシア経済は短期的にまずい方向に進んでいます。 ルーブル為替も弱そうですね、今後。

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ナビウリナ氏中銀総裁任命:インフレ抑制が主要課題→緩和は限定的か

しばらくお休みしておりました。
リンクさせてもらっている「ロシアぶろぐ(仮)」で、成田-モスクワ間の格安航空券がトランスアエロから発売になるというニュースを危機小躍りしていました。また改めてロシア語の勉強に邁進していく所存であります。

というわけで、昨日、ナビウリナ氏の中銀総裁就任が下院で承認されました(ロイター)。 元経済発展大臣として実業分野での経験を持つ同氏が、今後どのような金融政策を行なっていくのか注目されています。

下院でのスピーチ概要をVedomostiが伝えています。

  • 4年の任期中における主要課題はインフレを3-4%に抑えること。(現行の見通しである)7%は不確定性が大きすぎる。年率3-4%に抑えられればロシア経済にとって質的飛躍となる。
  • 前経済発展大臣として経済成長について考えざるを得ない。中央銀行も自身の手段を通じて経済成長について考えるべきだ。柔軟な為替が重要であり、経済から必要性に対し意図的に抑制してはならない。金融政策と経済成長のバランスは保たれるべき。
  • 多くの企業にとって融資利率が収益率より高い。現在、利率がインフレより低い状態。他国と違い、ロシアにはまだ利率を下げる余地がある。
3つ目の発言はなんかおかしいですがともかく全体的には、金融政策の経済成長に対する効果を信じているタイプのようです。日本の場合、金融の大規模緩和によりインフレ目標を上げる→経済成長を刺激する、という道筋ですが、ロシアの場合は利率を下げる→経済成長を刺激する+抑制的な金融政策でインフレ目標を下げる→経済の不確実性を下げて名目金利を下げる、という2つの相反する政策目標を抱えていることになります。というか、ロシアにかぎらず発展途上国はどこもそうですが。

これだけ見ると、インフレ抑制が主要な課題としているので、中銀総裁としては至極まっとうな発言。ということは、黒田氏のような積極的な緩和政策は行えないということです。ただし、利率については下げたいという希望がある。政策金利が市場金利にどれだけ反映されるのかはよく知らないのですが、少なくとも長期的にはインフレ率が下がれば名目金利は下がるという考え方。現行の政策とあまり変わらなさそうですね。

[単語]
・денежно-кредитная политика : 金融政策
・назначение на пост председатель ЦБ : 中銀総裁任命
・предсказуемость⇔неопределенность : 確実性⇔不確実性
・независимость Центробанка : 中央銀行の独立
・монетарные методы : 金融政策手段
・доступность кредита : 融資へのアクセス
・стоимость кредита : 融資利率、資本コスト
・доходность проектов : 収益率
・операционные издержки : 事業費
・офшоризация бизнеса : ビジネスのオフショア化
・мегарегулятор : 巨大監督官庁
 

プーチン大統領顧問が中銀総裁へ

プーチン大統領がエルヴィラ・ナビウリナ(El'vira Nabiullina)大統領顧問を新たな中銀総裁へと推薦したとFinmarketが伝えています。

2007年から2012年まで経済発展大臣を務め、その後大統領顧問をしていました。ちょっと前に紹介したプーチさんのキ◯ガイ発言の記事でちょっと出ていましたね。経済発展大臣のときにWTO加盟を果たし、仕事の腕前の評価は悪くないようです。

他の候補として挙げられているクドリン元財務大臣やコスチンVTB総裁は、RIA NOVOSTIによるとナビウリナ氏は中銀総裁にふさわしいと発言しているようなのでほぼ決まりなのでしょう。クドリンさんに至ってはすぐにTwitterで「素晴らしい候補。彼女に成功を!」とつぶやいてましたし。女性の中銀総裁は、G20では3カ国目になるようです(南ア、アルゼンチンに次ぐ)

今後の中銀の金融政策がどうなっていくのかが気になるところですが、上の記事によると、金融緩和、現状維持、保守転向と右から左までいろんな予想がされていてまったく不明w

ウファ出身、モスクワ大学経済学部卒、基本的に経済発展省でキャリアを積んできた彼女。日本で言えば東大卒経済産業省キャリアが大臣に抜擢→中銀総裁という道筋なので、産業寄りの金融政策に傾く可能性があるのかなあとも何の根拠もなく思ったり。となると金融緩和→ルーブル下落ということになりますが、日本と違って通貨下落で痛い目をみているロシアなのでそこまで短絡的ではないんでしょうね。


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ロシア中銀「俺は悪くないよ」→政策金利低下は見込めず?

Kommersant紙が、ロシア中央銀行による昨年の金融政策暫定評価について報じています。

簡単に言うと、「俺は悪くないよ。 資金需要はちゃんと満たしてたし。銀行が構造的な流動性不足にあるのが悪い。中銀の政策は景気に対してマイナスの影響を与えていない。」ということ。

これまでに、昨年後半の成長率の鈍化は高い利率が問題であるという論調を紹介して来ましたが、中銀の発表はこれに反対するものです。まあ、中銀と政府・財界は常に対立するものですしね。日本とかアメリカの例を見ても。

問題は、中銀がこういった立場であると、今後しばらく政策金利の低下は見込めないのではないということです。プーチンさんあたりが決めたら鶴の一声で変わるとは思うんですけどね。

この記事の本筋とは違いますが、面白かったのは、政府予算から石油ガス収入を除いたプライマリー・バランスの赤字が公表されていること。9.7%の赤字、ってそれだけなの?という印象。半分くらい石油ガスから来てるはずでは?と思いましたが、細かいところは説明されていなかったので謎のまま・・・。続きを読む

ビックマック指数:ルピー<ルーブル<元<ドル<ユーロ<円<ボリバル

Finmarketが、ビックマック指数による為替レートの公平さについて報じています。

ビックマック指数では、ルーブルはインド・ルピー、南アフリカ・ランドに次いで世界で3番目に安い通貨と判断されるようです。ビックマックの値段が米に対し44.5%、ユーロに対し50.3%安いとのこと。ちなみに日本円はドルに対し24.3%高いらしいです。ルーブルは中国元に対しても5.7%安く、2.43ドル。

もちろん市場によって価格政策は異なるの(日本国内でも違うし)で、一概には言えませんが面白い結果になりました。 ビックマック指数と購買力平価を信じると、ルーブルはこれから高くなっていくということになります。しかし購買力平価が成り立つとしても長期だと思いますので、債券を買うくらいの期間だとあまり参考にはならないかもしれません。

この記事ではまた、現在為替切り下げ戦争が勃発していると指摘しています。
世界では今いくつかの為替戦争が過熱している。先進国も途上国も輸出を刺激するために為替を切り下げようと努力している。この傾向は、2010年に先進国が金融緩和の方針を採った頃に始まった。世界の多くの政治家の意見では、現在の主要な侵略者は日本だ。同様のクレームは、中銀が「量的緩和」を進めているアメリカとイギリスにも向けられている
戦争を始めたのは先進国、現在の侵略者は日本だと指摘されています。確かに今、円は独歩安のようですが、これまでが高すぎたんだよ!と言いたいところです。でも日本だけじゃなくてアメリカとイギリスにも矛先が向けられています。正直、実際に金融緩和、まだしてないですよね?インフレ期待の形成だけでここまで動くとは・・・そりゃ海外の経済学者が日本を経済政策の実験場だと思うのも無理ありません。

長期投資を目論む方は、長期的には円安ルーブル高に動くというビックマック指数比較に賭けてみるのも良いかもしれません。管理人は賭けてます。ちゃんと計算したことはないですがポートフォリオの5%くらいはロシア株式です。 そのうちちゃんと計算してみようかな・・・。

(追記)
単語を入れ忘れてたので追記しました。一番下にありますが、ロシア(というかまだソ連)に初めてマクドナルドが出来たのが1990年で、その時のビックマックは6.8ドルもしたそうです。今は2.43ドル。その間にルーブルは1/1000のデノミをしていますので、どれだけ価値が下がったのか想像がつくと思います。



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ロシア経済の成長を信じロシア経済に投資する中年の投資と勉強の備忘録です。 ロシア語の勉強も兼ねて、ロシアや旧ソ連諸国の経済関連ニュースを紹介していきます。勉強中なので、いろいろ教えて下さい。 HN:イワノフ ブログランキングに参加しています。面白かったらどちらか押してください~↓
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