ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

資金洗浄

キプロスとロシアの汚職の関係

Finamrketが、ロシアがキプロスに対してどれだけ責任があったのかという調査について報じています。フィンランドのアールト大学、西オンタリオ大学の研究者が、このようなブログ記事を掲載したのを引いています。

それによると、この20年間でロシアからキプロスを通じて洗浄された資金は300億ドル以上であり、キプロスの銀行預金のうち1/3から半分程度ははロシア由来だという。

ロシア統計局によれば、キプロスはオランダについでロシアへの海外直接投資額で第2位であり、2005年から2011年までをみても、イギリス、スイスについで第3位だった。これは、ロシアとキプロスの間で資金がぐるぐる回っていることを明確に示している。資金の多くは汚職を通じて得られたものだ。キプロスで資金は洗浄されてからロシアに還流している。

研究では、1997年から2011年までのロシアで登録された外資企業2万社を調査。外資企業を2つのグループに分けている。
・外資の資金元がオフショアでらうもの(キプロス(38%)、ヴァージン諸島(11%)など)
・外資の資金元が本物の外資であるもの(51%:ドイツ、アメリカ、フィンランド、中国、トルコ、フランス、スウェーデンなど)

製造業・貿易業では、本物の外資企業の割合が7割程度を占めているのに対し、不動産業ではオフショアからの投資の割合が約7割、金融業では約8割であった。

また、地域ごとの汚職度と、キプロスからの投資額を比較すると、その2つの数字の間には明確な関連性が見られた。オフショアからの外資企業は、通常の外資に比べ、汚職度が高いロシアの地域での活動が活発である。

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公式統計だけで、面白い結果がでるもんですね。
前半部分は、ロシアを勉強している人にとってはある意味「常識」的なところでしたが、後半の調査結果は興味深いです。

英語の元記事もありますので、参考まで。
http://www.voxeu.org/article/russian-cyprus-round-tripping-corruption-linked-money-laundering

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独「おそロシアン・マフィアをEU納税者が助けてはならぬ」露「ギリシャ救済が原因なのに…」(2)

引き続き、独立新聞の記事から。

キプロス問題についての考え方が、欧米(ここではドイツ/アメリカ)とロシアのマスコミ・富裕層、それからロシアの普通の人で意見が完全に分かれてそうですね(個人的な偏見が多分に入っています)。

  • 欧米 :キプロスの銀行においてある金の大半はロシアからの得体のしれない非合法な金なんだから、我々の税金を使って救済するなよ

  • ロシア富裕層:我々は単に銀行預金してただけだ。節税/脱税スキームは使ったけど、ロシア税務との問題でヨーロッパに迷惑なんかかけてない。なんで我々にばかり負担をかけるんだ、ギリシャ国債のリスケをしなければ良かっただけだろ。少なくともギリシャ国債に集中投資してたキプロスの銀行の責任はどこ行ったんだ?そっちのツケをこっちに押し付けるな

  • ロシアの普通の人:知り合いで誰か損した人がいなければいいや。金持ちは痛くも痒くもないんだろうし。キプロス旅行が安くなるといいなあ

独立新聞では陰謀説とも言えるくらいの議論が展開されていますが、そこまでやるか?

独「おそロシアン・マフィアをEU納税者が助けてはならぬ」露「ギリシャ救済が原因なのに…」(2)  ←この記事
独「おそロシアン・マフィアをEU納税者が助けてはならぬ」露「ギリシャ救済が原因なのに…」(3)(終) 


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独「おそロシアン・マフィアをEU納税者が助けてはならぬ」露「ギリシャ救済が原因なのに…」(1)

独立新聞が、キプロス危機についてドイツ紙が「ロシアの汚い金を救うのに納税者の資金はつかわれてはいけない」と伝えている事に対し反論しています。

いきなり「ボリシェビキ的」とか言われておっおっと思ったクラスタですが、接収のことを言ってるんでしょうね(違っていたらすみません)。

それにしてもドイツ紙はえげつない。キプロスは、麻薬密売、武器密売、人身売買 といったロシアン・マフィアの活動を支える中継点だった、ですと?

変な脱税スキーム組んでキプロスに資金を逃避させている部分は大きいかと思ってましたが、人身売買まで行ってしまうとぎょっとします。全くないとは言いませんが、割合としては脱税資金がほとんどなんじゃないでしょうかね。いずれにせよ非合法なので五十歩百歩だと言われてしまえばそれまでですが。一応EUの国でユーロに入っているのに辛辣です。というか、逆にそうだから辛辣なのか。

ただ、こういった情報が事前に流れている状況で、キプロス救済に対して、ギリシャと同じような救済手段を採れなかったのは当然。どこまで的を射ているのかはわかりませんが、世論的には「キプロスに蓄財しているロシア人の金持ち」のお金を、自分たちが支払った税金で救済する 、というのは通るはずがない。最初から結論は決まっていたことだったのでしょう。


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独「おそロシアン・マフィアをEU納税者が助けてはならぬ」露「ギリシャ救済が原因なのに…」(3)(終)

 
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