ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

石油

メドベ「石油価格が下がるよりガソリン価格が上がった方が良い」

Finmarketが、ロシア経済に関するメドベージェフ首相の記者会見の内容を報じています。ガソリン価格についての箇所が面白かったのでご紹介。

メドベージェフ首相の発言より、2013年上半期の経済指標をまとめている方が面白いのですが、それは明日の記事にします。

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ガソリン価格の高騰が収まり、逆に急落する可能性もあるが、それは石油価格が急落した場合だ。ロシアにとって石油価格の急落はガソリン価格が高騰するよりも大きな不幸である。ガソリン価格の上昇は客観的に決められるものであり、ロシアだけでなく他国でも起こっていることだ。

ガソリン価格上昇を抑えるためには、代替エネルギー源を開発するための条件を創っていかなければならない。小売での違反については、対応する組織が反応しなければならないだろう。 

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うーん、身も蓋もない言い方。
でも、これがロシア政府高層部のホンネなんでしょうね。 「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない」に通じるところもあるような気がします。これをはっきりというところが良いところかもしれません。日本だったら思ってても言わないよね。続きを読む

ロシア経済は行き詰まり

Finmarketが、「ロシア経済は行き詰まり」という記事を掲載し、HSBCによる経済分析を報じています。抄訳はいかのとおり。


米国金融政策の不透明性と中国経済成長の鈍化により、世界経済の回復はゆるやかなものになりそうだ。HSBCエコノミストの予想によると、2013年の世界経済の成長率は2%にとどまり、2014年も2.6%にとどまるという。予想を低下させた理由は、主に新興国の経済成長予測の低下によるものである。 

 ・ロシア経済成長予測は低いままで据え置き(2013年:2.5%、2014年:2.0%)

 ・リスクは石油価格、国庫収入減少、インフレ


【伝統的なマクロ経済政策は現状では極めて効果が薄い】

2012年度予算が赤字とならない原油価格は110ドルであり、積極的な財政政策をとるのはリスクが高すぎる。金融政策についても、インフレが大きく鈍化しないかぎり難しい。ローンの伸びが年率22%と高く、むしろ金融政策は引き締めの段階。むしろビジネス環境改善の方が経済成長促進効果が高い。


【最大のリスクは石油 - 頼りにならないパートナー】
原油価格は徐々に下落の傾向。スタグネーションの原因は原油だけではないとは言え、3%以上のGDP成長に向けての障害。ウラル原油価格が80ドルまで達すると、ロシアは不況の状態に突入する。


【第2のリスク - 予算ルールの失効】
予算ルールの実施において、2013年予算では深刻な障害が発生している。民営化からの利益や借入など、石油源泉以外の国庫収入が予定に達していない。 


【第3のリスク - インフレ】
消費者物価指数は5月までで年率7.4%の上昇で、2012年末の6.6%から加速している。このインフレ率の上昇は、農作物価格や年始の諸税引き上げによるもの。昨年の金融引締め効果が今年の下半期にあらわれて、ターゲットとする5-6%のインフレ率は達成可能かもしれないが、2014年のターゲットである4-5%の達成はより難しいと言わざるを得ない。HSBCの予測は2013年は6.6%、2014年は5.5%で据え置き。

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ガスプロム、純利益で世界1位から転落、アジア市場への出遅れ顕著

Vedomostiが、ガスプロム社の2012年度純利益が世界第3位だったと伝えています。

2012年度のガスプロム社の収入は、2011年度から3%増加し4兆7640億ルーブル(約15兆円)でしたが、純利益は10%減少し1兆1820億ルーブル、4兆円弱 となりまいた。

ガス輸出量は5190億立方メートルから4820億立方メートルに減少。 欧州へのガス輸出量は1566億立方メートルから1510億立方メートルに微減したものの、売上は1兆4390億ルーブルから1兆4690億ルーブルに微増。逆に、旧ソ連への輸出は17%減少しています。

純利益では、 2011年度はFortune誌で「世界で最も純利益の高い企業」と認定されていましたが、2012年度はExxonMobilとAppleに抜かされ3位。

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ロシア経済成長率予測を3.6%→2.4%に低下

Vedomostiが、2013年のロシア経済の成長率見込みが大きく引き下げられていると報じています。

経済発展省は2013年のロシア経済成長率予測を3.6%から2.4%に引き下げ。また、インフレは5.8%、資本流出が300億-350億ドルと見込んでいます。インフレ予測はさほど変わっていませんが、資本流出は100億ドルとの見込みからだいぶ増えています。

投資の伸びが想定の6.5%に比べ実績が4.6%と2%近く低いことと、主にガス輸出の不振が大きな原因のようです。

また、RIA NOVOSTIでは、経済産業省は石油・ガス価格が今後下落すると予測していると伝えています。石油・ガス価格の下落はルーブルの押し下げ要因となり、輸出部門に肯定的な影響を与えるとも。また、消費の伸びも低下しています。

年率2.4%というと先進国並みです。下手したら日本でもこのくらい今年は叩き出せるかもしれません。それにしても第1四半期が終わったばかりで1%も見込みを変えるのは尋常でない。原油価格も落ちています。経済発展省では不確実性が原因と見ているようですが、構造的な問題だと思います。日本経済と似たような状況に陥ってるような感じですね。

[関連記事]
 ロシア13年成長率見通しは2.4%、09年以来の低迷に(ロイター

[単語]
・понизить прогноз роста ВВП : GDP成長率予測を下げる
・отток капитала : 資本流出
・стагнация : スタグネーション
・в среднесрочной перспективе : 中期的に
・спотовые контракты : スポット契約
・сланцевый газ : シェールガス
・ценообразование на газ : ガス価格形成
 

ロシア企業が安いのには理由がある:(4)株価の石油価格への従属(終)

Finmarketが伝えるCitiの分析記事もこれで終わりです。

最後に、ロシア株式市場評価で最も大きいと見られる石油価格への依存について述べられています。MSCI Russiaインデクス※は石油価格に従属しており、相関係数は89%とほとんど同じような動きをしているとのこと。

※正確にはMSCIインデクスに採用されている企業の利益率との相関関係

これまで当ブログでは何度も述べていますし、だいたいの方のコンセンサスになっていると思いますが、実際に数的分析をしてもやはり、やはり石油価格とロシア経済が相関というか従属しているという結果がわかって、嬉しいやら悲しいやら・・・実は違うんだよ!という分析も待っていたのですがそういうわけにはやはりいかないんですね。

まあ、石油価格が十分に低くなると相関関係が失われるらしいですが、引用元の記事に掲載されているグラフをみると、石油価格以上に企業利益率が下がるという最悪のパターン。コモディティよりボラティリティの高い経済、というわけでこのボラティリティが株価に織り込み済みなので安い、と。

だったらこれから石油依存から脱却すれば上がっていくんじゃないか、とも思いますが、そんな簡単に脱却できないだろうとも思ってしまうわけです。

なかなか明るい未来は描けないものです。でも日本よりは明るいと思っていますがね。


ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ
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ロシア企業が安いのには理由がある:(3)設備保守に費用がかかる分野

昨日は酒のんでそのまま寝てしまって更新できず・・・なんという屈辱ッ。
というわけで本日は2つ更新です。

引き続きFinmarketが掲載しているCitiの記事について。

ロシア企業の価値が低く見える件を、その特徴が顕著である4分野(石油、ガス、インフラ、金属)について分析しています。要は、「ソ連時代の設備保守にばかり金が使われて新規設備にはあまり投資されていない」ことが、企業の利潤を大きく見せているということです。

ノリリスク・ニッケルなんて新規投資ゼロみたいです。本当?

前提がちょっと大げさなところもありますが、上記の条件を考慮に入れてPERを修正すると6.2倍から10.3倍に上がり、割安感が薄れると。それでもそんなに高くないように見えますが・・・(日本企業と比べてしまうからか)。

もう1つだけ記事が続きます。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ続きを読む

ロシア企業が安いのには理由がある:(2)ソ連資産の減価償却

昨日のFinmarketの記事の続き。

ロシア企業が「お買い得」に見える理由として、昨日はボラティリティが織り込まれていることを挙げましたが、今日分の記事では、ソ連時代の生産設備が未だに使われていて会計上利益が増えて見えることが指摘されています。

古い生産設備を使っても儲けられてるから良いのではないかとも一瞬思うのですが、特にエネルギー分野では設備更新が進められていて、その費用がまだ認識されていないため一時的に利益が多く見えています。コストで言うと10倍近く増える計算になるようです(会計上)。

逆に、ソ連時代の設備を使っていない分野、特にリテールなんかはそういった会計上のマジックがないため、他の産業分野に比べ利益が小さく見える、というか通常の利益しか出せていません。

数年後に費用が後追いできて利益率は下がる、となると、エネルギー依存の高いロシア株式市場への投資は手控えるべき?と思いがちですがこの記事は「そういうことはすべて織り込み済みなので企業価値が低い」という説明なので、現在の投資判断上は過大に見なくても良いのではないでしょうか。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ
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ロシア企業が安いのには理由がある:(3)設備保守に費用がかかる分野
ロシア企業が安いのには理由がある:(4)株価の石油価格への従属(終)

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ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ

Finmarketが、CitiBankによるロシア株式市場の分析について報じています。

PERで見ると、ロシア株は他のBRICs諸国に比べても安すぎるとよく言われているようです。MSCI RussiaインデクスのPERは6.2倍と、それだけ見るとあらお買い得ね、という風に見えます。しかし、この記事には、それには以下の理由があるとしています。

・ロシア株式市場のボラティリティが大きい
・株式市場が石油価格に依存しすぎ
・特にエネルギー関連企業で(減価償却の関係で)PERが良く見えている

1と2は関連しています。前にもちらっと書きましたが、ロシア市場に投資することは石油・ガスといったコモディティに投資することに近いです。この記事でも書かれており、元記事にはグラフもついていますが、ロシア市場のインデックスであるMSCI Russiaに含まれている中でエネルギー分野の割合が他の新興国と比べて5倍、50%を超えています(!)。エネルギー分野以外の産業もおそらくエネルギー分野との連関性が強いと思いますので、ロシア投資≒エネルギー関連コモディティ投資、と考えざるを得ません。コモディティ価格のボラティリティが大きい→ロシア株式市場もボラティリティが大きい、という至極単純な構図。

というわけで、PERだけで見るとお買い得に見えるロシア株式市場ですが、こういったリスクがすでに織り込まれているから安いだけだ、という結論です。

ロシア投資ブログを謳っておきながらポジティブになかなかなれない記事ばかりが続いてしまってます。積み増しはやめておこう・・・かな・・・。

次回は減価償却についてもう少し詳しく紹介します。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ ←この記事
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2013年ロシア経済予測:シティの場合

シティバンクが2013年の経済予測を公表しています。Vesti Financeが伝えています。

どうも歯切れの悪い記者会見だったようですが、主だった結論は以下のとおり。
・経済成長率は3-3.5%。
・2013年のインフレ率は6%
・年末にかけて石油価格は1バレルあたり95ドルまで下落する。ルーブル為替も下落する。
・シェールオイル開発で石油価格は下がるが、長期的にはそんなには下がらない。
・でも結局誰もはっきりとはわからない。

なんでしょうか、経済予測って外れると訴えられる類のものなのでしょうか、最後まで「はっきりとはわからない」「誰にもわからない」と責任逃れをしたいような節が見られます。まあ、最近は天気予報が外れても責任を取らされる時代なので、さもありなん。

低成長率と低インフレ率(もちろん、ロシア比で)、石油価格も当てに出来ない、と悲観的な予測で、他のエコノミストとそんなに変わるところはないようです。シェールオイル採掘で一つの採掘場からの生産がたった1年で急激に落ちるので、どんどん新しい油田を見つけて行かなければ生産量が保てないというのは初めて知りました。 本当か?

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ロシア「大陸棚開発の権限やるよ。あとから俺たちも混ぜてくれよな」

飲んで帰ってきたので更新が遅くなってしまいました。一応、日曜除いて毎日更新が目標なので、まだ金曜日だということで。ここ最近はコンスタントに2桁ユニークアクセスがあり、昨日は史上最高の30超えとなりました。ありがとうございます。

ちょっと前ですが、RIA NOVOSTIが大陸棚開発のライセンスについての政府の立場を報じていました。 大陸棚開発の権利は、現在はガスプロムとロスネフチにしかないようですが、これを民間にも開放する方向で検討中のようです。

ただ一筋縄ではいかないのがロシア。日本もだろうけど。
民間企業が開発した鉱区に入りこめるオプションが国営企業には与えられるかもしれないとのこと。 それでは意味ないのでは、と一瞬思いましたが、そんな権利があろうがなかろうがロシア政府の息のかかった企業は入っていけるのだから無問題ですよね!・・ははは・・・はは・・・。

そう思って大陸棚開発を進める民間企業が出てくると、ロシア経済も活性化して私にも少しおこぼれがくるかもしれないので、期待して待っておきます。

では、一部紹介。続きを読む
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ロシア経済の成長を信じロシア経済に投資する中年の投資と勉強の備忘録です。 ロシア語の勉強も兼ねて、ロシアや旧ソ連諸国の経済関連ニュースを紹介していきます。勉強中なので、いろいろ教えて下さい。 HN:イワノフ ブログランキングに参加しています。面白かったらどちらか押してください~↓
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