ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

旧ソ連各国

ウクライナの今週の動き。不屈のヤヌコヴィチ、追い立てられた「マイダン」と国民期待の冬

今日はロシア経済ニュースではありませんが、ウクライナのデモについてのUNIAN(ウクライナの通信社)の記事を紹介します。

ロシア・ウクライナ間の話になると、私はどうもウクライナに肩入れしてしまう癖があるようで、ロシアの報道を読んでいてもどうしても「なんか他人事みたいだな」と感じてしまいます。「バカな弟がまたバカなことやってるよ」的な。

というわけで、偏見の入った記事選択になっているかもしれません。記者も饒舌になっていて、ちょっと意味のわからないところがあったのですが流していますが、ご参考まで。

ちなみに「マイダン」とはウクライナ語で「広場」を意味します。トルコ語由来?

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 今週の動き。不屈のヤヌコヴィチ、追い立てられた「マイダン」と国民期待の冬
エヴゲニー・マグダ/UNIAN

EU首脳陣はヤヌコヴィチ・ウクライナ大統領の連合協定署名の説得に失敗した。11月30日早朝にスペツナズが独立広場に集うデモ「ユーロマイダン」を追い出したことは、完全に逆方向のリアクションとなった。冬の最初の日、道路は数十万人の人であふれた。

少なくとも、ウクライナとEUの連合協定署名に係る争いの第一ラウンドは敗北だ。多くのネガティブな影響について伝えられおり、EUの関心の高さから、ウクライナとの交渉は、「東方パートナーシップ」サミット会場で協定書名セレモニーが行われるところまで進んでいたという事実を示している。大統領の強固な立場は、おそらくウラジーミル・プーチンとの何らかの「議論」に基づいていると見られる。その議論は、4500万人のウクライナ人には待ち焦がれるようなものではなかったが、国の首脳にとっては十分だったようだ。ロシアはこの成功に喜びを隠していない一方、(一時的なものかもしれないが)ウクライナがEUへの接近を拒否したことが、ウクライナにとってとても不快なこの一連の出来事を誘導したのだ。

11月30日早朝、党首脳も国会議員もおらず、ただ数百人の活動家と学生が集まっていた「ユーロマイダン」をスペツナズが追い出した。スペツナズの厳しさは何を持っても正当化できるものではない。残念ながら、野党のリーダーたちはサヴィク・シュステルのテレビ番組に「到達する」力は見つけたものの、「ユーロマイダン」を効果的に守ることはできなかった。大統領は土曜日の出来事に対して憤慨していたが、日曜日には市民の憤慨が街中にあふれた。ヴァレリー・コリャク・キエフ警察署長の更迭やヴィタリー・ザハルチェンコ内務大臣の謝罪では、この状況を抑えることはできないようだ。

冬の最初の日、キエフでどれだけの人が表に出たのかは不明である。ただ、野党が欧州統合支持のデモを集め、10万人集まった11月24日よりかなり多いことだけは明らかだ。独立に関する国民投票の記念日に、数十万のウクライナ市民が、野党のリーダーを自称する政治家のためではなく、自分たちのためにキエフの大通りへと集まってきたのだ。この大量の人の海に正しい方向を提案することは、その政治家にはできないようだった。

キエフ市庁舎と職業組合会館の占拠は、象徴的な動きというステータスを目指すものであって、実際の歩みとはいえない。この状況の更なる展開に備える活動家の列には、警察とデモ参加者との衝突を避けようと努力する数名の政治家の姿があった。

大統領府のあるバンカヴァヤ通りでは、その日ヴィクトル・ヤヌコヴィチ大統領はおらず、いるはずもなかったが、活動家グループがグレーダーで警察の壁を乗り越えようとしていた。ウクライナには、信じやすいジャーナリストが「創造的な人格だ」とかんがえるプロ活動家への需要がまた現れたようだ。警察側の答えは、過剰な適切さには悩まなかった。有罪者も、無実の者も、ジャーナリストまで捕まえられた。

政権での状況の展開も興味深い。まだ確認されていないが、セルゲイ・レヴォチキンが大統領府長官を辞任すると決定したという。地域党国会議員で与党離党を表明する者もいるが、この決定が意味を持つには、離党を希望する国会議員の数30-40人に上った場合だけである。いつも政権与党におもねる共産党は、欧州寄りの決定に投票するとは思えない。

全国の国民に理解され受け入れられるような妥協に政権側と野党が到達する能力があるかが、ウクライナの主権と領土一体性を維持するための主要な条件であるようだ。90年代始めに改革を終えた中欧の国々の発展を追いかけようとして、ウクライナはまた危機を経験している。

ウクライナ:ガスプロムからのガス購入を停止し、ヨーロッパからの購入を設定

RIA NOVOSTIが、ウクライナがロシア・ガスプロムからのガス購入を停止し、ヨーロッパからのガス購入を設定したと伝えています。

この問題をずっと追っていたわけではないので内容について詳しくない立場から言うと、本件については私はウクライナに同情的なので「ふーん」と言った感じです。毎年毎年いろんな政治がからんで面倒な交渉して得るものは市場価格であれば、余計な交渉なしで経済的に市場価格で購入したほうがウクライナにとっては数段良いと思います。

ロシアはウクライナをかわいがっていると思っているのかもしれませんがそれは「かわいがり」ですからね・・・。前にも書いたかもしれませんが、旧ソ連諸国に対するロシアの報道はひどく偏っていますので、ロシアの報道しか見ていないとウクライナが一方的に悪者に見えるかもしれませんが。

といっても、最初に書いたように最近は全然追っていないので間違っている可能性もありますから、泡沫ブロガーの戯言はあまり信用しないように。

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ウクライナ:ガスプロムからの購入を停止し、ヨーロッパからの購入を設定

ポーランドのガス供給会社Gaz-Systemによると、11月始めにウクライナはポーランドの領土を経由したガスの輸送を大きく増加させた。11月9日ウクライナはロシアからのガス購入を停止した。ウクライナとロシアの関係は、来るウクライナのEU連合協定署名を背景に悪化している。

ガスプロム社からのガス購入拒否を宣言したウクライナは、先週、ポーランド領域を経由したガス輸入を設定した。ポーランドのガス供給会社Gaz-System社広報部がRIA NOVOSTIに伝えた。

ポーランドからウクライナへのガス逆供給は、「ゲルマノヴィチ」を通じて行われている。技術的な最大のガス供給量は1日480万立方メートルだ。

同情報では、11月6日まで毎日1250万キロワット/h(約120万立方メートル)から1560万キロワット/h(約150万立方メートル)のガスが供給されていた。

11月6日に供給量は倍になり3400万キロワット/h(約320万立方メートル)となり、11月9日には5130万キロワット/h(約490万立方メートル)に拡大、11月10日も同レベルを保っている。11月11日の情報はGaz-System社はまだ開示していない。

ウクライナはもう数年にわたりロシアからガス価格の値下げを得ることができず、ヨーロッパからの燃料購入を開始した。2012年11月にはナフトハス・ウクライナ社とドイツのRWE社の間での合意に従いポーランドを経由したガス供給が開始された。本年3月末には初めてハンガリーからのガス供給があった。また、ルーマニアとスロバキア経由の逆方向供給の開始も検討しているが、交渉は長引いている。

ガスの逆方向供給とは
2013年春、アレクセイ・ミレル・ガスプロム社長は、ウクライナを「バーチャル・リバース」で責めている。欧州向けのロシア産ガスを、ウクライナの西側g国境のガス量計測所を通した直後に、ヨーロッパのスポット市場で購入したガスとして逆にウクライナの保管所に戻している。

ウクライナ:徴兵制撤廃へ といっても内務省部隊への兵役は維持

RBCがウクライナで徴兵制が撤廃されたと報じています。

旧ソ連の国々でもだんだんと兵役が軽くなっているようですが、ウクライナは軍への兵役はなくなるようですね。といっても、内務省部隊への兵役は維持されているとされています。ここらへんの仕組みは勉強不足でよくわからないのでそのままにとりあえず訳しました。 

カザフスタン、これは貧乏人は兵役がんばれということでしょうか。
(割と合理的なのかも)

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ウクライナ:徴兵制撤廃へ

ヤヌコヴィチ・ウクライナ大統領は最後の徴兵と契約制による軍組織形成への移行についての大統領令に署名した。ヤヌコヴィチ大統領がウクライナ女性英雄との面談において伝えた。

「今朝大統領令に署名した。これ以降兵役はなくなる。義務年限内兵役についている軍人が予備役へと解雇され、今年最後の兵役軍人が辞め、徴兵は今後されないという手続きについて大統領令に記されている」ただし、内務省軍への義務年限兵役は維持されると大統領は付け加えた。

現在、ウクライナ軍とその専門的な武器は、専門的な人材を承知する必要があるレベルに達したと大統領は述べた。武器が非常に複雑化したため、軍もプロフェッショナルにならなければならない。

従事したいと思う人材、軍事職に惹かれる人材が契約制による軍従事をしなければならない。契約制による専門的なアプローチというのは、仕事にも必要なものである。軍事の専門家が我が国の安全保障を担わなければならない。

10月1日に秋徴兵がはじまったカザフスタンの軍指導部は新兵について興味深い実験を導入している。徴兵対象者には、1年か1ヶ月か、どの期間軍に従事するかの選択権が与えられるとの情報を同国国防省が拡散した。もし1ヶ月を選ぶ場合には、一定の金額を支払わなければならない。

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ロシアに移民はどれだけいるのか

Kommesart-Vlast'がロシアにいる移民の数についての記事を掲載しています。

1100万人らしいです。人口の7-8%くらいでしょうか。アメリカに次いで世界第2位とのことで、さすが世界の覇を争った2国です。

主に中央アジア、特にウズベキスタンとタジキスタンが多いようですね。

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ロシアに移民はどれだけいるのか


9月に行われた国連経済社会理事会報告では、移民の数でロシアはアメリカに次いで2位だという。同理事会はロシアには1100万人の移民がいるとした(アメリカは4580万人)。ロシア連邦移民局もこのような評価に同意している。移民局によると、ロシアにいるすべての外国人を含めると1120万人の移民がいる。そのうち、合法的に働いているのはたったの150万人であり、一次滞在許可あるいは居住権を持っているのはたったの72万人であると移民局はしている。

40%の移民は働くためにロシアに来ているわけではなく、30%は決められた期間を超えてロシアに滞在している。移民の多くは中央アジア出身だ。1120万人のうち23%がウズベキスタン国籍であり、10%がタジキスタン国籍だ。ロシアにいる不法移民の数は300万人から500万人と言われている。最近の4年間で移民流入は37%増加している。

モスクワには100万人、モスクワ州には150万人の移民が生活している。うちモスクワで合法的に働いているのは20万人で、モスクワ州は40万人だ。2012年のモスクワの外国人移民登録者数は174.5万人となっている。

アントン・ムハタエフ

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GDPを輸出する移民-タジク48%、キルギス31%、モルドヴァ24%

Kommersantが、移民労働者の本国への送金額に関する世銀報告の記事を掲載しています。

やはり タジク、キルギス、モルドヴァは多いですね。モルドヴァは昔はGDPの半分と言われてたと思いますが、最近は1/4に減ってるんですね。ルーマニア語が話せるので、スペイン語やイタリア語もすぐ話せるようになるので移民が多いと聞いています。ある意味羨ましい…。


* * *

 移民の労働が、移民先の国だけではなく移民元の国にとっても経済的事実としてますます重要になってきてている。2013年に移民が本国い送金した額は5000億ドルを超える見込みだ。GDPの1/3ないし半分もの額が移民の送金である旧ソ連の国もある。
2013年、発展途上国からの移民が本国経済に与える影響は4140億ドルであり、前年比で6.3%増加していると世銀の調査で判明した。2016年には5400億ドルを超えると同銀行専門家は考えている。全世界の移民が本国に送金する金額は、20113年は5500億ドル、2016年には7000億ドルになるとも言われている。

この評価は、ロシアやラトヴィア、リトアニア、ウルグアイなどが発展途上国ではなく高所得国家に属するようになった世銀の新カテゴリーに従っている。

(中略)

本国GDPに対する送金額の割合で見ると、旧ソ連諸国が無条件のトップを占めている。2012年、タジキスタンからの移民の送金額はGDPの約半分、48%を占めた。キルギスは31%、モルドヴァは24%だ。これらの国と同様なのはレソトとネパールで、GDPの約1/4が本国に送金されている。

 実際の数値はこれを上回る。公的チャネルを通じた送金にかかる費用が高いため、移民はその他の本国送金の手段を探さざるを得なくなっていると世銀の専門家は指摘している。
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ロシア、モルドバワインの輸入を再び禁止

Interfaxが、ロシアがモルドバワインの輸入を再び禁止したと報じています。

私も勉強不足でよくわからないのですが、素人が見るとどう考えても恣意的かつ政治的なものにしか見えないんですよね。グルジアもそうですが。主任衛生医師の発言でも、「なんで俺たちがこんな仕事しなくちゃいけないのか意味がわからないから全面輸入禁止」ってどういうことでしょうか。

まあ、私がロシアよりモルドバの方が好きだからこう見えてしまうのかもしれませんね。日本もモルドバワインは輸入してますし、イタリアやフランスの企業が買収したモルドバワイナリーもありますから、全面停止にするほどのものということはよっぽどなんでしょうね。それともロシア向けに低品質のワインを輸出しているのか。

ロシア側の主張を抄訳して紹介します。

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 モルドバワインが再び輸入禁止に
消費者保護・福祉監督庁は9/10にモルドバからのワイン輸入禁止を決定した。ワインの質が問題だという。

オニシチェンコ主任衛生医は次のように語った。

「輸入禁止はモルドバ側から問題のシステマティックな解決に向けた具体的な方策が見られるまで続けられる。モスクワ経済の乳母を務めるつもりはない。

ロシア側は最近何度もモルドバ・ワインの品質についての問題を取り上げてきた。ここ3週間でなんども交渉や合意に達しようと努力してきた。輸入禁止は、我々は本当にしたくなく、必要に迫られたものだが、この状況を打開する唯一の可能性だ。

モルドバ・ワイン製品の品質を不安に思う深刻な根拠がある。許容される量を上回る可塑剤が検出されている。これは製造技術や材料・製品の保管に何らかの違反があることを意味する。洗練された製造には相容されないものだ」

今年度、モルドバからロシアへは1300万リットル以上のアルコール製品が輸入されている。8月末にロシア消費者保護・福祉庁は、健康に害を及ぼすフタル酸ジブチルを検出したとしてモルドバからの8貨物輸入を停止した。また、さらに2種類のモルドバのアルコール製品もロシアの国家登録を否認されている。

オニシチェンコ医師は、状況は悪化しており、2006年のときのような方向に向かっていると話した。2006年、ロシアはモルドバからのワイン輸入を禁止したが、その後徐々にロシア市場に戻ってきていた。オニシチェンコ医師は、これまで行ってきた手作業での管理をするリソースなくなってしまった、モルドバ政府機関が行うべき仕事をロシアのラボに負担させる意味が無い、モルドバにはアルコールの品質を管理するシステムがないと言った。

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ロシア:ウクライナからの輸入を全面ストップ

ロシアがウクライナからの輸入を完全に止めている問題について、ロシア政府の見解をFinmarketが伝えています。

8月14日からロシア税関がウクライナ企業すべてを「リスクのある企業リスト」に含めたため、現時点でもウクライナからの輸入が全面ストップしているという問題。すでに損害は250万ドルと見積もられています。

ロシア政府としては、現在の状況を憂慮している、税関の決定でありロシア政府ではこのような決定は採られていないとロシア政府広報部は発表しています。かといって何の対策も採ってないみたいですが…。

ウクライナのアザーロフ首相は、本件問題は関税同盟の構成上の問題であるとして、二国間の経済紛争ではないとはしているようですが、ロシアがウクライナに対して経済的な戦争を仕掛けたという見方もあるようです。

まだこの段階では何がなんだかよくわかりませんが、両国間ではよくある話かも・・・。 続きを読む

ロシアへのグルジアワイン輸入再開

RIA NOVOSTIが、ロシアへのグルジアワイン輸入が再開したと伝えています。

グルジアのワインメーカー「Dugladze」社が、2006年の輸入禁止以来初めてのロシアへの出荷を金曜日に行った。今週には約15万本のワインが届けられる。

「Dugladze」社以外にも、「Alaverdi」社、「Teliani Vele」社が輸出許可を得ている。

 グルジアからのワイン、ミネラルウォーターおよび農作物の輸入は、グルジア・ロシア関係の悪化に伴い2006年春に禁止された。輸入禁止の公式な理由は、グルジア産品の質の悪さであった。

2013年3月、ロシア主任衛生医師のGennadiy Onischenkoは、ロシア基準を満たしている検査を終えた企業に対し、ロシア市場における産品の登録手続きを許可すると発表。企業リストには、ボルジョミ社やSairme Mineral Waters社、Kindzmarauli Maranii社、Teliani Vele社、Tsinandalskiy Stary Vinniy Pogreb社が含まれている。

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ロシア以外の国では(日本を含めて)普通に飲めていたのですから、政治的な理由以外の何物でもなかったようです。ただ、しばらくはグルジアワインの価格が高止まりしそうだと別な記事で言っているので、どこまでロシア市場で人気を取り戻せるかわからないですね。

安さもその魅力だったので・・・。 

まだキンズマラウリやツィナンダリは入ってきてないんですかね。 続きを読む

ウクライナが2022年冬季オリンピック開催国レースに参加

ウクライナが2022年冬季オリンピック開催国として名乗りをあげると、インタファクス通信が伝えています。

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Vilkul副首相は、ウクライナは2022年冬季オリンピック開催を真剣に目指すと発表した。

オリンピック開催により、カルパチア(カルパッチャ)地域のインフラを整えリヴィウやカルパチア地域の観光地としての潜在力を海外にしらしめることができるとしている。

11月に2022年冬季オリンピック開催への申請を行い、2014年夏にショートリストが作成され、2015年夏に最終決定がなされる。
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うん・・・ウクライナはオリンピックを開催したこともありますし、ユーロも2012も共催したことがあるので経験は十分と。

しかし、どう考えてもロシアと同じくくりなんですよね、地域として。
2014年冬季オリンピックがロシアで、その次が韓国で、次にウクライナってどう考えても難しいんじゃないかな~。

リヴィウやリヴィウ郊外のお城は素敵なところなんで、知って貰いたいというは同意。
愛のトンネルもあるし。 続きを読む

S&P旧ソ連レポート:エネルギー効率性が問題、グルジア好調

Finmarketが、旧ソ連諸国の経済力に関するS&Pレポートを紹介しています。具体的には、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、アゼルバイジャン、グルジアの6カ国。

リーマン・ショック後の回復は早かった旧ソ連各国ですが、2012年にはどの国の経済も減速、2013年もこの傾向が続くとの要旨。原因としては、投資環境の悪さと汚職が挙げられているのはいつものことですが、それに加えて、生産分野におけるエネルギー効率性の低さというのが指摘されています。特にウクライナとベラルーシについては、危機の原因はまさにこのエネルギー問題です。

個別の国としては、ロシアはインフレのために経済成長に制限がかかっていること、ウクライナは輸出の不振が問題だと指摘されています。

比較的状況が良いのはグルジアとカザフスタン。グルジアは、上記のような問題を抱える石油分野以外が発展していること、カザフスタンはガスがあるのが強み。

S&Pの格付けで一番高いのはカザフスタンのはBBB+。ロシアはBBB、一番低いのはベラルーシのB-。2001年からの推移のグラフを見ていると、やはり資源を持つロシア、カザフスタン、アゼルバイジャンの強さが目立ち、資源のないウクライナ、ベラルーシ、グルジアの弱さが目立ちます。2極化しているのがはっきりと分かりますね。

ただどの国も2013年度は経済成長が鈍化。2012年がひどかったベラルーシとウクライナ、それからアゼルバイジャンは回復しますが、以前のような水準ではありません。

インフレの状況は、ベラルーシを除いて2013年は悪化する見込みのようです。ベラルーシは2012年は60%(!)のインフレでしたが、22%まで落ちる見込み。グルジアは-0.9%のデフレ状態から、1.5%のインフレに転換。他国はどこもインフレが加速しています。

旧ソ連諸国に共通するのは、財政政策による経済の刺激という手段が取りづらいことです。エネルギーを持たない3カ国はともかく、ロシア、カザフ、アゼルも燃料価格が思ったように高くならないことから、財政拡大には2の足を踏んでいます。

エネルギー効率性については、10億ドル分のGDPを生産するのに必要な1日の原油量での比較がされています。ブラジルが1300バレル、中国が1700バレルであるのに対し、ベラルーシは8600バレル、ウクライナは7600バレル、ロシアは5600バレル、カザフスタンは2100バレルであると指摘されています。古いインフラ、古い生産設備を更新せずに(更新できずに)使い続けているせいかもしれません。

いつもロシア中心のニュースをお伝えしていましたが、今回は旧ソ連各国に関するものをピックアップしてみました。一応ブログランキングの「ウクライナ」のカテゴリにも登録していましたがウクライナニュースを伝えたことがなくwちょっと気になっていたので。

エネルギー効率性の低さが経済成長の足かせになっているというのは納得ですね。ここがうまく乗り切れれば、ベラルーシもウクライナも一皮むけるかもしれません。全体的には、グルジアにとって肯定的なレポート担っていましたね。政治の不安定性さえ取り除ければ、ロシアへの輸出や観光業で伸びる余地が多いと。グルジアには一度行ったことがありますが、観光的に大変良かったです。また行きたいな~。グルジアとウクライナに投資するファンド探してみようかな。 続きを読む
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ロシア経済の成長を信じロシア経済に投資する中年の投資と勉強の備忘録です。 ロシア語の勉強も兼ねて、ロシアや旧ソ連諸国の経済関連ニュースを紹介していきます。勉強中なので、いろいろ教えて下さい。 HN:イワノフ ブログランキングに参加しています。面白かったらどちらか押してください~↓
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