ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

ロシア投資

ロシア企業が安いのには理由がある:(3)設備保守に費用がかかる分野

昨日は酒のんでそのまま寝てしまって更新できず・・・なんという屈辱ッ。
というわけで本日は2つ更新です。

引き続きFinmarketが掲載しているCitiの記事について。

ロシア企業の価値が低く見える件を、その特徴が顕著である4分野(石油、ガス、インフラ、金属)について分析しています。要は、「ソ連時代の設備保守にばかり金が使われて新規設備にはあまり投資されていない」ことが、企業の利潤を大きく見せているということです。

ノリリスク・ニッケルなんて新規投資ゼロみたいです。本当?

前提がちょっと大げさなところもありますが、上記の条件を考慮に入れてPERを修正すると6.2倍から10.3倍に上がり、割安感が薄れると。それでもそんなに高くないように見えますが・・・(日本企業と比べてしまうからか)。

もう1つだけ記事が続きます。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ続きを読む

ロシア企業が安いのには理由がある:(2)ソ連資産の減価償却

昨日のFinmarketの記事の続き。

ロシア企業が「お買い得」に見える理由として、昨日はボラティリティが織り込まれていることを挙げましたが、今日分の記事では、ソ連時代の生産設備が未だに使われていて会計上利益が増えて見えることが指摘されています。

古い生産設備を使っても儲けられてるから良いのではないかとも一瞬思うのですが、特にエネルギー分野では設備更新が進められていて、その費用がまだ認識されていないため一時的に利益が多く見えています。コストで言うと10倍近く増える計算になるようです(会計上)。

逆に、ソ連時代の設備を使っていない分野、特にリテールなんかはそういった会計上のマジックがないため、他の産業分野に比べ利益が小さく見える、というか通常の利益しか出せていません。

数年後に費用が後追いできて利益率は下がる、となると、エネルギー依存の高いロシア株式市場への投資は手控えるべき?と思いがちですがこの記事は「そういうことはすべて織り込み済みなので企業価値が低い」という説明なので、現在の投資判断上は過大に見なくても良いのではないでしょうか。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ
ロシア企業が安いのには理由がある:(2)ソ連資産の減価償却 ←この記事
ロシア企業が安いのには理由がある:(3)設備保守に費用がかかる分野
ロシア企業が安いのには理由がある:(4)株価の石油価格への従属(終)

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ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ

Finmarketが、CitiBankによるロシア株式市場の分析について報じています。

PERで見ると、ロシア株は他のBRICs諸国に比べても安すぎるとよく言われているようです。MSCI RussiaインデクスのPERは6.2倍と、それだけ見るとあらお買い得ね、という風に見えます。しかし、この記事には、それには以下の理由があるとしています。

・ロシア株式市場のボラティリティが大きい
・株式市場が石油価格に依存しすぎ
・特にエネルギー関連企業で(減価償却の関係で)PERが良く見えている

1と2は関連しています。前にもちらっと書きましたが、ロシア市場に投資することは石油・ガスといったコモディティに投資することに近いです。この記事でも書かれており、元記事にはグラフもついていますが、ロシア市場のインデックスであるMSCI Russiaに含まれている中でエネルギー分野の割合が他の新興国と比べて5倍、50%を超えています(!)。エネルギー分野以外の産業もおそらくエネルギー分野との連関性が強いと思いますので、ロシア投資≒エネルギー関連コモディティ投資、と考えざるを得ません。コモディティ価格のボラティリティが大きい→ロシア株式市場もボラティリティが大きい、という至極単純な構図。

というわけで、PERだけで見るとお買い得に見えるロシア株式市場ですが、こういったリスクがすでに織り込まれているから安いだけだ、という結論です。

ロシア投資ブログを謳っておきながらポジティブになかなかなれない記事ばかりが続いてしまってます。積み増しはやめておこう・・・かな・・・。

次回は減価償却についてもう少し詳しく紹介します。

ロシア企業が安いのには理由がある:(1)石油依存によるボラティリティ ←この記事
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SBIからまたルーブル建社債発行。今度は5.2%。

SBI証券からまたルーブル建て社債が発行されるようです。今回の発行元はまたもやバークレイズ・バンクPLC。

売れ行きが良いのでしょうか。今日はイタリアで変な動きになりましたが、確かに最近は円安の傾向が続いているので、外債を買っておこうという気持ちはわかります。

が、1月のBNPパリバのやつが年率6%で、今回が5.2%。発行体の格付けはS&PのA+で変わらず、期間はBNPパリバが5年で、今回のが3年半。

ちなみにロシア国債はここを確認すると2018年償還のものの利回りが約6%。ロシアの国債格付けはBBBなので、格付けが良いので利率が低いのはわかるが、バークレイズは日本でルーブル起債してロシア国債買うだけでさやが取れる計算か。しかしどんどん安くなるな・・・。

以前にも書いたとおり、このくらいの利率ではそれだけで手を出せるような魅力はありません。円安が今後3年半続くと確信しているのであれば良い商品かと思いますが、そこまでは確信がもてません。これなら株式市場に投資するほうが諦めがつきますね。通貨切り下げ競争がつづき、ロシアも参戦して公定歩合を下げるようなことになれば債券がちょっと魅力的になるかもしれませんが、この買い方だと途中売却も面倒そうですし、為替手数料に勝てるかどうか・・・。

いずれにせよ、投資は自己責任でおねがいします。
 

ロシア年金ファンドの運用動向:GSレポート(4)終

GSの年金ファンド運用に関するFinamrket記事、続き&最後です。

最後に年金ファンドの株式投資について。危機前は株式にもある程度の投資をしていたものの、その後はほとんど手を引いてしまった年金ファンド。

しかし、株式市場投資に制限の少ない民間ファンドの人気も高まりつつあり、今後株式市場を活発化させる可能性が高いようです。

さて、次の危機はいつになるのでしょうか・・・。

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ロシア年金ファンドの運用動向:GSレポート(3)

GSレポートに関するFinmarketの記事の続きです。

ロシアの株式市場は海外投資家が支配しているのに対し、債券市場にはまだ海外投資家の参入は少なく、ロシアの年金ファンドと銀行がメイン・プレイヤーです。銀行は、中銀オペをするための担保としてポートフォリオの40%を債券で保つ必要があるため、償還が近い債券を大量に保有しています。

私も日本債券については期間を短期化していくか(投資信託)、償還まで持ち続けられるやつ(個人向け国債)で持って行こうかと思っています(まだ実施していませんが)。いきなりデフォルトはないでしょうが、利率上昇はそのうち起こると思うので、残存期間は気になるところです。 ましてやロシアはデフォってますので。

ただ前にも書きましたが、ルーブル建て債券の国債決済が可能になったようなので、今後債券市場も盛り上がるのではないかと。参加者が増えれば国債のプレミアムも下がると思われるので、ロシア経済にも良い影響を与えるでしょう。

経済成長という面ではロシアは新興国としては頼りなく見えてきていますが、証券市場的には今後伸びる余地がまだまだあるかなと。

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ロシア年金ファンドの運用動向:GSレポート(2)

昨日のFinmarketの記事の続きです。

国民の年金の大半は対外経済銀行がほぼ管理しています(企業から直接送金を受けるため?)。ただ、投資先は2009年までは国債しか認められていなかったとのこと。つい10年前にデフォルトした国の国債しか投資先に認められていない年金ファンドも怖いのですが・・・。2009年以降は社債や銀行預金が可能となったので、前述のとおり銀行預金がどんどん増えているという状況。

具体的には、2009年末は年金ファンドの97%が国債であったのが、2012年第3四半期には58%まで下がって、銀行預金が16%、社債が15%となっているようです。 

ロシアの民間年金ファンドは、危機前はがっつり株式に投資をしていたが危機後は株式からはほとんど手をひいてしまったとのこと。手を引かなければ回復していたのに・・・という鱈レバは個人のレベルで抑えておかないととんでもないことになりますが。

では、続きは↓。

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ロシア年金ファンドの運用動向:GSレポート(1)

1週間お休みいただいてました。また明日からロシア語本気出します。というわけで今日は過去の遺産より。

Finmarketが、ロシア有価証券市場のゴールドマン・サックスによる見通しについて報じています。他国では圧倒的な存在感を持つ年金ファンドが、ロシアの株式市場と債券市場ではその役割を果たしていないので、将来的に年金ファンドが参入すれば盛り上がる、という論調。

ロシアの年金ファンドが管理する資金はGDPの5%。大和総研によると、OECD平均は60%を超えており、日本は20%超、ということなので、まだまだ小さいようです。が、毎年毎年成長していて、今後影響力はますます大きくなっていきそうです。

現在の資金量は3.1兆ルーブルで、ロシア債券市場の7.5兆ルーブルに比しても45%となるのですが、ただ、現在ロシアの年金ファンドの運用は国債よりも利回りの良い銀行預金に移ってきているとのこと。その比率はまた次回分で。逆に、債券市場はユーロクリア基準を導入してルーブル建て国債の直接決済が国際的に可能になったようで、外国投資家の関心を集めるようです。

確かに、この資金が株式市場に流れ込めばだいぶ株価が上がりそうですね!もうちょっとロシア株式インデックス買い増そうかな・・・。債券も外国銀行が発行するルーブル建て社債より直接国債が買えた方が選択肢が増えて良いと思います。よっぽどプレミアムが載ってないと買いづらいとは思いますが。

長めの記事なので何回かに分けて紹介します。

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BNPパリバがまたルーブル建社債を発売。今度は6%。

以前、ちらっとルーブル建て社債のことを書きましたが、またBNPパリバが今度はSBI証券でルーブル建て社債を売るようです。今度は年率6%ともう少し下がっています。

他のサイトでは、発行体の格付けの観点からちょっと利率が安すぎるというコメントを見つけましたが、こちらとしては、ルーブル建て債券は円建てで生活する人にとっては為替リスクを買うようなものと考え、2017年までに円安・ルーブル高となると予想出来れば買いかなと。両国のインフレ率格差はアベノミクスを考えても4%以上(ロシアの2013年のインフレ率は6%以上との予想が多い)ですが、3年という短期・中期だと購買力平価では為替は説明できないので、円安を信じる方はご購入を検討ください。資源高ならありえると思います。

某サイトでロシア人に聞いたら、「ロシアじゃこの利率じゃ売れない」とは言ってました。ルーブル建てで考えると確かにインフレに負けますしね。

ロシア:2013年のインフレ率予想は6-9%

2012年度のロシアのインフレ率は6.5%と、年初予想より少し高くなったようです。RBKが伝えるところによると、2013年は6-9%のインフレ率予想がなされていますが、だいたい6%後半の予想が多いようです。「続きを読む」以降に一部引用しておきます。

ちなみに最近マネックス証券で発売されたPNBパリバのロシアルーブル建て社債の利率が6.18%ですので、ルーブル建てで見る限りこの債券は実質マイナスの利率になってしまいそうですね。円建てでは為替の要素があるのでなんとも言えませんが、 日露間のインフレ率格差にもかかわらず中期的に円安に動くのかどうか、不安なところです。ロシアではこの利率で起債できるのでしょうか。

 インフレがどうなるかという点では、農作物の作付状況と公共料金の価格改定が影響をおよぼすようです。農業は経済に占める割合はあまり大きくないと思っていましたが、消費者物価には比較的大きな影響を与えるのでしょうね。それにしても、公共料金の値上げが10-15%とは高いですね。インフレ率より高くてみんな文句言わないのでしょうか。
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ロシア経済の成長を信じロシア経済に投資する中年の投資と勉強の備忘録です。 ロシア語の勉強も兼ねて、ロシアや旧ソ連諸国の経済関連ニュースを紹介していきます。勉強中なので、いろいろ教えて下さい。 HN:イワノフ ブログランキングに参加しています。面白かったらどちらか押してください~↓
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