ロシア経済ニュース

ロシア経済に投資する中年の備忘録(ロシア語→日本語翻訳日記)

January 2013

ロシア人「貯金?そんなのないっすよ」

豚の角煮を作ろうと材料を買い込んできたは良いが、あまりにもお腹が空いてパンにバルサミコとオリーブオイルを付けて食べだしたら止まらずさらにポテチとビールでほろ酔い気分になってきた炭水化物地獄の今日このごろ、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

RBK Dailyが、どれだけのロシア人が貯金をしているのか、信頼出来る投資先はなんだと考えているのかを伝えています。

この記事によると、貯蓄をしているのはロシア人の3割とのこと。67%は貯蓄0。ちなみに日本は約3割(第一生命調べ、2012/2発表(PDF))。ロシアが多いことは、まあ、予想の範囲内ですが、意外に日本の無貯蓄世帯が多いことに驚きました。

ロシアはインフレ率も高く、過去に何度か通貨暴落を起こしているので、貯蓄なんていうインフレに弱い資産を持たない選択は理解出来ます。といっても、たぶん無貯蓄者の多くは稼いだ金は全部使う、宵越しの銭は持たない人たちだと思いますが。別に悪い意味ではなく、生活が苦しい人が日本に比べて多いということでしょう。

貯蓄率が高いのは、モスクワ・サンクトペテルブルク住民(47%)、高学歴(36%)、老齢者(35%)。貯蓄目的は、マンション購入(29%)が一番高かったようです。予想通りすぎて言葉もありません。あれ、これ、日本と同じ状況か。老齢者がもっと多いだろうけど。

最も信頼出来る投資先は不動産(55%)。金その他貴金属は27%→24%に減少し、そのかわりにルーブル貯金が11%→15%に増えています。やはり不動産ですね。日本と違って、モスクワとサンクトだったら「まだ」価値が下落する感じじゃないです。地震がないからからかな、やっぱり。ルーブル貯金が増えているのが意外です。貯蓄から投資へ、じゃなくてタンスから銀行へ、が少しずつ進んでいるのでしょうか。良い傾向です(ロシアに投資する自分にとって良い、という意味)。

短いから全部載せたいのですが、一部だけ。一応毎回全文訳しています(勉強のためなので)。

2013/01/20 追記
Voice Of Russiaが関連記事の全訳を掲載しています→Voice of Russia
ありがたいことです。続きを読む

グレフ「ロシアはグローバリゼーションで負けている」←石油輸出でじゃぶじゃぶ稼いでるのに・・・?

元経済発展大臣、今はズベルバンク社長のゲルマン・グレフ氏のグローバリゼーションに対する意見をFinmarketが伝えています。

彼いわく、ロシアはグローバリゼーションで負け続けているらしいです。エネルギーの輸出でさんざん儲けている国の、経済関連省庁のトップをしていた人の発言とは思えません。いや、自由化されると困る層のロビーが強いんでしょうね。でもガスプロムの幹部とかもしていたよな、この人。

でも輸出でさんざん儲けてるのにこんなこと言われるとカチンとくるのは、資源弱小国の国民だからでしょうか。いや、日本も儲けてるけど。

あと、ロシアはすべての分野で競争力を高めて勝っていかなくてはいけないらしい。大変なことです。昔の貿易理論では比較優位でもってどちらの国も貿易から益を得られるとされています。輸出だけして輸入はすべきでないと考えてるのかもしれません。強いものが勝つ、弱いものは負ける、所得格差が拡大する、とも言っています。

この方はグローバリゼーションに反対しているわけではなく、グローバリゼーションで勝たなければ行けないと考えているだけでしょう。グレフ氏にかぎらず、ロシアの偉い人は、他国を貶めてでも自国の勝利をもぎ取るべきという考えをする人が多い気がします。Win-WinではなくWin-Loseで、輸出はするけど輸入はしないよ、ロシア経済だけがうまく行けば良い、っていうのは第ニ次世界大戦前のブロック経済を彷彿とさせる考え方ですよね。

所得格差も、貧しいものがより貧しくなっているのではなく、貧しいものでも前よりは良くなっているし、富めるものが単に前より富んでいる、という話をすり替えています。所得格差に反対なら、貿易で得た富でうまく再分配なりして解決すべき話。グローバリゼーションがなければ、日本でボルシチを食べることも難しかったわけです。貿易をやめれば国民は今より貧しくなるのは確実です。

最近の経済理論は勉強不足なので、もしかすると私が学生時代に学んだものよりだいぶ進化していて彼のような意見が主流なのかもしれませんが、そのときは笑い飛ばしてください。続きを読む

ロシア経済ニュースサイトのリンク

ロシア経済ニュースをチェックしているロシア語サイトのリンク集を作りました。いつもググってたのですが面倒になってきたので。右下の方にあります。

今のところ、だいたいこの5~6サイトを巡回して記事を探して訳す、というサイクルです。この中では、Investcafeのブログ記事は全文訳掲載可能で、他は引用にとどめています。

他に良いサイトがあれば教えて下さい。全文訳掲載可能なところだとモアベター。

ロシア経済2013年の見通し:新たな成長の源泉を探して(3)(終)

Finamarketが年末に伝えた、エコノミストの2013年見通しの記事、やっと最後まで訳しました。3人めはガスプロムバンク経済予測センターのマクシム・ペトロネヴィチ主任エコノミストの意見。

個人的にはこの人の話が一番参考になりました。2人めは?な感じでしたが、この方はわかりやすく要素を一つ一つ説明してくれて良かったです。

国民総生産は消費、投資、政府支出、純輸出でできている、と高校か大学かで習った記憶がそこはかとなくしますが、この要素ごとにロシア経済の状況を説明しています。経済成長率は低めの3%と予想。悲観的。

・消費: 2012年は需要が伸びたが、ローンが増えたのがその要因。実質所得・賃金の伸びはあまりなかった。2013年は金融引締めが行われると予想、ローンの伸びも鈍化→需要の伸びも鈍化。

・ 投資:2012年はエネルギー分野ではない民間分野で投資が伸びたようだが、その影響は限定的。オリンピック前年には通常開催国のGDPは伸びる傾向が見られ、総合すると投資は加速する。

・ 輸出:ユーロ圏の調子が悪いので輸出の伸びも期待できない。対中国で短期的に期待できる。

また、農業はGDP成長率にはあまり影響しない(GDPの5%未満)が、消費者物価指数の品目の4割が農産品のため、その価格がインフレに大きく影響するとの由。奇しくも疑問に思っていたところに答えをいただきました。農産品がインフレに与える影響が大きいため、年の半ばにならないと確度の高いインフレ率予測ができないというのはなかなかおもしろいですね。ロシアへの投資をする身からすれば完全にリスクですが、農産品によるインフレだとあんまり為替に影響がないような気もする(単なる思い込みの可能性大)ので、それ以外のところで判断すれば良いのかなあと。

最後に投資環境改善の必要性は今回も叫ばれています。おまじないみたいなものでしょうか。

では、一部紹介します。
 
<前の記事>
新たな成長の源泉を探して(1)
新たな成長の源泉を探して(2)
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じゃぶじゃぶしたお金が流れ込まなかったロシア株式市場

昨年、各国は金融緩和政策をとって、各国株式市場は軒並み値上がりしたのにロシアはあまり値上がりしなかった、とKommersantが伝えています。
TNK-BPの買収劇などでロシア市場に対する政府からの干渉が不人気の原因としています。成長率の低下も一因とのことですが、やはり4%くらいの成長率だと一昔前の日本やアメリカと変わらないし、実質成長率で言うと日本とそんなに変わらないのでは、と思いますよね。資源だけの国から資源と内需の国へと進化したロシアですが、さらにもう一歩進むのにはまだ時間がかかりそうです。
 
そしてまた投資環境改善が最後に叫ばれています。最後に投資環境改善を叫ぶパターンをうまく一言で表したかったのですが思いつかなかったので思いついたら教えて下さい。続きを読む

2012年に値上がりした「もの」

割と真面目な話題ばかりを続けて来ましたが、ここらで一つ軽く。と言ってもまたインフレのお話。

昨年のインフレは農作物牽引型だったという記事を紹介しましたが、2012年に最も値上がりしたものは何だったのか、という記事があったので紹介します。 Vesti Financeが伝えています(記事ビデオ)。ニュースのほぼテキストがあるのはロシア語勉強用に良いですね。

インフレが続くととりあえず消費しとかないとって気になりますか?日本人は逆に「将来に向けて貯めないと!」といってむしろ節約に走る傾向がある気がします。ロシア人は、また別途紹介しますが、消費に加えて不動産投資に走ります。あ、これは途上国どこでもそうかも。

では気を取り直して10位から。



10位 牛乳 ← 飼料用穀物の値上がり。
 
9位  砂糖 ← ビーツ(砂糖大根)と倉庫費用の値上がり。

8位 牛肉 ← ロシアだけでなくアメリカでの不作。1/3は輸入。

7位  ガソリン ← 一部ガソリンへの税金の増加。2013/1/1からもさらに税金が平均6%上昇。

6位  じゃがいも ← 一部地域では不作で通常の2/3の収穫高に。欧州も不作。
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うわっ・・・日露の金利差、低すぎ・・・?

先に上げたルーブル建て社債の件と関連して(?)、Investcafeに掲載されていたロシア中銀の公定歩合の話を紹介したいと思います。

インフレは昨年並みか微増という予想が多かったですが、この記事では公定歩合は0.5%-0.75%の微減と予想しています。ロシア中銀の現在の公定歩合は8.25%なので、7.5%程度になるということです。この予想ではロシアと日本の実質利率差は0.4%くらいロシアが高いことになります((7.5-6.8)と日本の現在金利0.3%の差※インフレとともに公定歩合も上昇すると仮定)。意外と金利差が小さくて驚きました。

今、この状況で政策金利の低下がどこまで実質経済に影響があるのか最近の勉強不足でよくわからないのですが、このことよりももう少しインパクトがありそうなルーブルの通貨変動幅廃止の可能性についても著者は言及しています。ルーブルが完全フロート制に・・・(遠い目)。いや、痛い思いをした昔と今のロシアはもう全然違いますよね!
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BNPパリバがまたルーブル建社債を発売。今度は6%。

以前、ちらっとルーブル建て社債のことを書きましたが、またBNPパリバが今度はSBI証券でルーブル建て社債を売るようです。今度は年率6%ともう少し下がっています。

他のサイトでは、発行体の格付けの観点からちょっと利率が安すぎるというコメントを見つけましたが、こちらとしては、ルーブル建て債券は円建てで生活する人にとっては為替リスクを買うようなものと考え、2017年までに円安・ルーブル高となると予想出来れば買いかなと。両国のインフレ率格差はアベノミクスを考えても4%以上(ロシアの2013年のインフレ率は6%以上との予想が多い)ですが、3年という短期・中期だと購買力平価では為替は説明できないので、円安を信じる方はご購入を検討ください。資源高ならありえると思います。

某サイトでロシア人に聞いたら、「ロシアじゃこの利率じゃ売れない」とは言ってました。ルーブル建てで考えると確かにインフレに負けますしね。

失業率は4.1%

ちょっと短い記事を。失業率についてVestiが伝えています。。
ロシアの統計上の失業率の定義については勉強不足でよくわからないのですが、2012年末の時点で4.17%となったそうです。

かなり低いですね。 この数字は労働局発表のもので、統計局発表では生産可能人口の5.4%になっています。それでも思ったより低いといった印象。

日本と違って隠れた数字も大きそうですね。続きを読む

ロシア経済2013年の見通し:新たな成長の源泉を探して(2)

先日の記事「ロシア経済2013年の見通し」の続きです。高等経済大学のミロノフ氏のご意見。

今度は悲観的に経済成長率は3%と見込んでいます。外需に期待できず、内需も昨年のような選挙前のようなバラマキ政策も期待できないこと、また中銀は市場が過熱していると考え流動性増加を抑えようとしていることすべてが経済成長にはネガティブに働く、という論旨。

また、WTOに加盟すると競争力が弱くなるのでルーブルが下落していく必要がある、と言っています。こういう主張は日本でも時々見かけますが、WTOに加盟すると、競争力が弱い産業が淘汰され競争力が強い産業が生き残ることになるので、全体としてはフラットないしプラスの影響があるんじゃないでしょうか。ま、WTOに加盟しても日本の農業のような例もありますし。 

面白いなと思ったのは、石油価格が上昇しても、上昇分がすべて準備基金に吸い取られてしまうので経済には貢献しない、第一2011年は石油価格が高かったけど2010年より成長率が鈍化した、つまり石油価格と経済成長には関連がないとしているところです。

後段について、その他の要因が一定であればそうなのかもしれませんが、もし石油価格が低くなっていたら成長率はもっと鈍化しただけじゃないでしょうか。前段については、上昇分は政府が持っていってしまうといえども、政府貯蓄の増加はGDPを押し上げるので効果はあります。ただ、消費されなければ乗数効果が出ないので、企業に入り社会に金が回った時に比べたら、GDP押し上げ効果は小さくなるのはそのとおりだと思います。

ただ、石油価格が上がると仮定してのお話。もし下がると、政府貯蓄も増えない上に企業の生産も減少してGDPにそこそこの影響は与えると思うのですが、その場合でもこの方は「石油価格は経済に影響を与えない」と言うのでしょうか、聴いてみたいところです(もしそうなら、ロシア経済にとっては良いことだと思います)。

前の記事→ロシア経済2013年の見通し:新たな成長の源泉を探して(1)
次の記事→ロシア経済2013年の見通し:新たな成長の源泉を探して(3)

さて、今回もまた一部引用して紹介します。続きを読む
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